J SPORTSサイクルブログ

国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局J SPORTSのサイクルブログです。

ツール2017開幕!サッシャさん現地で大活躍

ツールの現場からこんにちは、宮本あさか@vittelです。

 

開幕グラン・デパールから大会4日目の今日まで、ご存知の通り、J SPORTSサイクルロードレースの実況でおなじみのサッシャさんがツールを回ってます。

 

私も一緒にこっそりお手伝いさせていただいてます。しかも、今回は生中継に挑戦!ということでしたから……、屋外や車内でサッシャさんと2人であれこれ試行錯誤しています(なにしろ技術スタッフがいないので)。

 

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(photo:jeep.vidon)

特にこの、初日タイムトライアル会場からの生中継は、我々も時間との戦いでした。さらには天候、そして送信電波とのバトルでもありました……。最終的に無事に成功(?)して、ほっと一安心もつかの間……大雨の中、新城選手の生インタビュー目指して、チームバス駐車場へと走る!

 

それにしても、「里帰り」に来たはずのサッシャさん、現場に来たら働くこと働くこと。毎日、精力的に、インタビューに取り組んでます。

 

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4日目のルクセンブルクスタートでは、フランク&アンディ・シュレクに揃ってコメントをもらいましたよ。

 

さらにはジャーナリスト用のオートバイに乗って、207.5㎞の長い平坦ステージへと走り出していきました。運転手のガエタンさんが用意して下さったライダーズジャケットも手袋も、ヘルメットも、体の大きいサッシャンにはちょっぴりキツキツでしたが、安全第一、しっかり装着です。

 

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ドイツ、ベルギー、ルクセンブルク、フランスを駆け抜けたサッシャさん、 日本帰国当日からJ SPORTSツール・ド・フランス生中継の実況席に座るそうです!!!

 

サッシャさん、大変お疲れさまでした!

 

宮本あさか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『パリ~ルーベ』 本日18:10~放映! 今年もまた、この日がやってきました!

2月のオムループ・ヘット・ニウスブラッドからスタートした石畳のクラシックが、とうとう今日、もっとも華やかなその終幕を迎えようとしています。

 

www.jsports.co.jp

(宮本あさかさんによる、パリ~ルーベ2017のプレビューはこちら↑↑↑)

まだ冬の寒さが残る2月のヘントから、桜と見まごう(ちなみに、「ベニバスモモ」のお花であります)ピンクの花びらが舞う4月のルーベまでの道のり。オフシーズンからトレーニングを積み、北のクラシックに備えてきた選手たちにとっては、今日のパリ~ルーベがその集大成とも言えます。

 

オムループで昨年に続く2連覇を達成し、フランドル・ウィークには、レコードバンク・E3ハレルベケ、ヘント~ウェヴェルヘムで続けざま初優勝を飾ったグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシング)。昨年ツール・ド・フランドルを制し初のモニュメント優勝を飾った現ロード世界王者のペーター・サガン(ボーラ・ハンスゴローエ)。現役最後の一戦に、史上初のルーベ5勝がかかるトム・ボーネン(クイック・ステップフロアーズ)。それぞれフランドル、ルーベを制した、モニュメント勝者のアレクサンドル・クリストフ(チームカチューシャ・アルペシン)、ジョン・デゲンコルプ(トレック・セガフレード)。彼らをはじめとするビッグネームたちに加え、近年ではヨハン・ヴァンスーメレン(2011年)やマシュー・ヘイマン(2016年)が証明したように、エスケープ(逃げ)からの勝利があり得るのも、ルーベの醍醐味です。

 

ヘイマン自身、こんなコメントを残しています。

「パリ~ルーベは、ブレーク(逃げ)がフィナーレまでたどり着くチャンスがある、数少ないモニュメント」

だからこそ、スタートから数時間、時には100km近くにわたり、逃げに入るための熾烈なアタック合戦を選手たちは繰り広げます。

昨年に続き、今日の放送ではスタートからゴールまでの全行程が生中継される予定となっています。ニュートラルゾーンから始まる熱い攻防は、見逃せません!

※ 本日の放映は18:10~であります!!!!!

www.jsports.co.jp

 

選手たちに、そのキャリアを通して熱い夢を見せ続けるのもルーベなら、アランベールの森でのメカトラやカルフール・ド・ラルブルでのクラッシュで、その夢を破れさせてきたのもルーベ。16回のチャレンジで勝利をものにしたヘイマンのストーリーは、ある意味自転車界のおとぎ話と言えるかもしれません。

 

さて今日、誰よりも注目を集めるのは、今日のレースを最後に現役を引退する、トム・ボーネン。ルーベで史上最多(タイ)の4勝を誇り、ファビアン・カンチェッラーラ(昨年引退)とともに、長きにわたってフランドル・クラシックの王者として君臨してきました。

ベロドロームのスプリントでヘイマンにわずかに及ばず、昨年のレースは2位で終えています。数多くのファンだけでなく、プロトンの誰からも、メディアの誰からも愛された彼は、昨年のレース後、こんな言葉を残しています。

『あそこで僕以外の誰かが勝たなくちゃならなかったとしたら、それはマシューだった。彼以上にふさわしい男はいないよ。キャリアを通して、あんなにいいアシストであり続けてきた。そして、彼にとっては、ライフ・チェンジャーだ。もし僕が5勝目を挙げたとして、それが何を変える? もちろん嬉しかったと思う。ほんのちょっと余計にね。けれど、それ以外の何も、特には変わることはなかったはずだ。それにひきかえ、あの勝利は彼の人生を変える。彼が勝つのを見ることができて、よかったよ』

彼の現役最後の一日が、すばらしいものになりますように。

 

てらおまき@京都

 

寺尾 真紀のコラム一覧 : コラム | J SPORTS

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トム・ボーネン、人生最後のパリ〜ルーベへ

こんにちは、宮本あさか@Compiegneです。

2017年パリ〜ルーベで、トム・ボーネンが現役を退きます。

「去年ルーベを走り終えた時に、決めたんです。この世界で一番美しく、僕が愛してやまないレースで、自転車を降りよう、と」(2017年チームプレゼンテーションインタビューより)

 

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2017年ルーベ前日のチームプレゼンテーションにて。 photo: Yuzuru SUNADA


2002年の初出場でいきなり3位というセンセーショナルな成績を出して以来、優勝4回、2位2回、トップ10入り4回。それ以外はリタイアが1回と、24位(ルーベ人生最悪の成績)が1回だけ。しかもご存知の通り、優勝回数4回は、1970年代に活躍したロジェ・デヴラーミンクに並ぶ、史上最多タイ記録です!!

ここでプチ情報。デヴラーミンクが4度目にルーベを制したのは、1977年、今からちょうど40年前でした。つまりスタート地がコンピエーニュに移行した初年度です。だからこそコンピエーニュ市長は、なにやら運命を感じている様子。

「コンピエーニュが初めてパリ〜ルーベを迎え入れた年に、デヴラーミンクは最後のルーベを勝ち、史上最多記録を樹立しました。コンピエーニュがスタート地を受け入れて40周年目の今年は、きっと、ボーネンが最後のルーベを勝って、新たな史上最多記録を打ち立ててくれるはずです」(2017年チームプレゼンテーションインタビューより)

その市長からは、パリ〜ルーベ前日に開催されたチームプレゼンテーションの壇上で、ボーネンへ記念の金メダルが授与されました。また開催委員会からはパヴェをかたどったチョコレートと、2005年、2008年、2009年、2012年産のワイン――つまりボーネンパリ〜ルーベを制した年――が贈呈されました。開催委員長のクリスティアン・プリュドム氏によれば、「レース後にも、さらにプレゼントがあるよ!」とのこと。

 

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元開催委員長ルブラン氏から優勝年のワインボトルを受け取る。 Photo: Yuzuru SUNADA


パリ〜ルーベは、世界でここにしかない、特別なレースです。他のどのレースにも似ていないし、なにより自転車競技場でフィニッシュを迎える、唯一のクラシックです」(2017年チームプレゼンテーションインタビューより)

そう、自転車競技場で、ぎっしり詰めかけたファンたちの歓声を浴びながら、両手を天に突き上げるというのは、ひときわ特別な経験のようです。

 

3人によるスプリントを制した、つまりフィニッシュラインギリギリまでサスペンスが続いた2005年大会や2008年大会では、残念ながら観客の声を堪能することはできませんでした。ラスト15㎞を独走した2009年大会でさえも、「ラスト数メートルまで落ち着きませんでした。最後の最後で追いつかれてしまわないよう、全力で走り続けたんです」(2009年優勝記者会見より)という切迫した状況でした。しかも、2009年大会は「ライバルたちが次々と落車したせいで勝った」と妙な批判を受けたものですから……。

だから2012年大会は、誰からもぐうの音も出ないほどの、とてつもない勝ち方を披露しました。「4度目の勝利なんだから、ものすごく特別なやり方で勝ちに行かない手はないんじゃないか?」って考えた末に、53㎞という伝説的な長さを、たったひとりで突っ走ったのです!

そしてボーネンは、背後を気にすることなく、轟音のような歓声に包み込まれたヴェロドロームへと、単独で飛び込みました。

「ゴール前に観客の前を2回通れるのは、この競技場だけです。そんな絶好の機会を、十分に満喫しました。この瞬間こそが、パリ〜ルーベをすごくスペシャルなものに変えてくれるんです」(2012年優勝記者会見より)

 

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2012年パリ〜ルーベ、4度目の栄光。 Photo: Yuzuru SUNADA

2017年4月9日、トム・ボーネンに、そんなスペシャルな瞬間は訪れるでしょうか。ルーベ史上最多の5勝目をもぎ取り、5つめの石畳トロフィーを手に、華々しく引退することができるでしょうか。

……たとえボーネンが勝てなかったとしても、きっとルーベ自転車競技場のファンたちは、まるで勝者のようにボーネンを大歓声で迎え入れるに違いありません。

宮本あさか@Compiegne

 

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近づくのも大変なほどごった返したメディアゾーン。ボーネンはフランドル語×2回、英語、仏語インタビューをそれぞれにこやかにこなして、帰って行きました。

 

 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 出場チームとワイルドカード選出の背景に迫る

こんにちは、サイクルライター/アナリストの福光俊介です。

 

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© Unipublic

 

“パヴェ”を呼ばれる石畳を走る「北のクラシック」が盛り上がりを見せていますが、ときを同じくしてシーズン後半のビッグイベント「ブエルタ・ア・エスパーニャ」に向けた動きも活発となっています。

 

3月27日、ブエルタを主催するスペインのスポーツイベント企業・ウニプブリクが、22の出場チームを発表しました。

以下、決定した出場チームです。

 

UCIワールドチーム】

アージェードゥーゼール ラモンディアル(フランス)

アスタナ プロチーム(カザフスタン

バーレーンメリダバーレーン

BMCレーシングチーム(アメリカ)

ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)

キャノンデール・ドラパック プロフェッショナルサイクリングチーム(アメリカ)

エフデジ(フランス)

ロット・ソウダル(ベルギー)

モビスター チーム(スペイン)

オリカ・スコット(オーストラリア)

クイックステップフロアーズ(ベルギー)

チーム ディメンションデータ(南アフリカ

チーム カチューシャ・アルペシン(スイス)

チーム ロットNL・ユンボ(オランダ)

チーム スカイ(イギリス)

チーム サンウェブ(ドイツ)

トレック・セガフレード(アメリカ)

UAE チームエミレーツUAE

 

UCIプロコンチネンタルチーム】※ワイルドカードでの選出

コフィディス ソリュシオンクレディ(フランス)

カハルーラル・セグロスRGA(スペイン)

アクアブルースポート(アイルランド

マンサナ・ポストボンチーム(コロンビア)

 

ブエルタ・ア・エスパーニャ公式WEBでの発表記事(英語)

www.lavuelta.com

 

まず、「UCIのルールに基づいて」として、まず18のUCIワールドチームを自動的に選出。

こちらは、ジロ・デ・イタリアツール・ド・フランスと同様ですね。

 

ブエルタに限らず、どのグランツールでも注目されるのがワイルドカード

コフィディス ソリュシオンクレディはビッグレースでもおなじみ。

コフィディス社はブエルタの大口スポンサーとして、数年にわたって大会を支えている点から見ても、ワイルドカードでの選出は妥当。

今大会への出場は未定ですが、エーススプリンターのナセル・ブアニ(フランス)ら実力者をそろえ、ビッグチームに迫るだけの戦力を有しています。

 

自転車大国にあって唯一のUCIプロコンチネンタルチームである、カハルーラル・セグロスRGAも同国自転車界ならびに同国開催のビッグレースでは欠かせない存在。

ここ数年はブエルタの常連であると同時に、

将来性の豊かな選手についてはスペイン人に限らず採用する方針をとっており、チーム力も着々と上がってきているところです。

 

これら2チームを“古豪”と呼ぶなら、次の2チームは“新興”と言えるでしょう。

 

アクアブルースポートは今年、サイクルロードレースシーンで産声を上げたアイルランド籍のチーム。

所属選手は16人と小規模ではあるものの、ビッグチームでの経験や実績に富んだライダーがそろっており、すでにクラシックなど伝統のレースでも招待を獲得。

戦力的にもさることながら、アイルランド自転車界の英雄であるショーン・ケリー氏が1988年にブエルタを制覇するなど、大会との関係の深さも挙げられます。

 

そして、今回のサプライズと言えるのがコロンビア籍のマンサナ・ポストボンチームの選出。

チームの結成は2006年で、2011年にはコロンビア・エス・パシオン-カフェ・ド・コロンビアの名でUCIプロコンチネンタルチームとして活動した実績があるものの、国際的には無名。

所属選手は16人で、うち13人が地元のコロンビア人選手。

若い選手が多いのも特徴です。

このセレクトには、財政難に苦慮しているというコロンビア自転車界の支援を目的としているという主催者・ウニプブリクの思惑があるとの見方も多く、実力やビジネス的側面に限らない出場チームの構成と言えそうです。

 

出場チームが出揃い、レースが楽しみになってきましたね。

情熱の国・スペインで繰り広げられる戦い、ぜひ今から想いを馳せていきましょう!

 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017は、8月19日から9月10日の日程で行われます。

 

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© Unipublic

 

それではまた、近々お会いしましょう。

 

福光 俊介/The Syunsuke FUKUMITSU

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ジロ・デ・イタリア2017 出場チームとワイルドカード選出の背景に迫る

こんにちは、サイクルライター/アナリストの福光俊介です、丸々1カ月ぶりですね。

 

サイクルロードレースシーズンは、南半球や中東でのステージレースがひと段落し、いよいよベルギーでの石畳系レースが幕を開けたところです。

3月に入れば、J SPORTSでも放映予定でのパリ〜ニースがありますし、本場ヨーロッパでの熱い戦いをわれわれもテレビから目にすることができますね。

 

そんな、楽しみが尽きない今日この頃でありますが、少々さかのぼりまして1月18日に発表されたジロ・デ・イタリアに関して、今回は書きたいと思います。

現時点ではJ SPORTSでのジロ放映は未定となっていますが、大なり小なりシーズン全体を左右する話題でもありますので、あえてこのブログで触れていくこととします。

 

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©️RCS

 

今年で第100回のジロ、イタリア領土を隅々まで巡るルート設定がなされています。

開幕は地中海に浮かぶサルデーニャ島

アスタナ プロチームのエースとして出走が予定されているファビオ・アルの出身地でもあります。

 

それでは、決定した出場チームを見ていきましょう。

 

UCIワールドチーム】

アージェードゥーゼール ラモンディアル(フランス)

アスタナ プロチーム(カザフスタン

バーレーンメリダバーレーン

BMCレーシングチーム(アメリカ)

ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)

キャノンデール・ドラパック プロフェッショナルサイクリングチーム(アメリカ)

エフデジ(フランス)

ロット・ソウダル(ベルギー)

モビスター チーム(スペイン)

オリカ・スコット(オーストラリア)

クイックステップフロアーズ(ベルギー)

チーム ディメンションデータ(南アフリカ

チーム カチューシャ・アルペシン(スイス)

チーム ロットNL・ユンボ(オランダ)

チーム スカイ(イギリス)

チーム サンウェブ(ドイツ)

トレック・セガフレード(アメリカ)

UAE チームエミレーツUAE

 

UCIプロコンチネンタルチーム】※ワイルドカードでの選出

CCCスプランディ・ポルコウィチェ(ポーランド

バルディアーニCSF(イタリア)

ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア(イタリア)

ガズプロム・ルスヴェロ(ロシア)

 

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©️RCS

 

ジロ・デ・イタリア公式WEBでの発表記事(英語)

www.giroditalia.it

 

前回、ツール・ド・フランスの出場チームについて記した際に触れましたが、トップカテゴリーにあたるUCIワールドチームは無条件で出場権を獲得しています。

やはり注目したいのは、主催者による選出(ワイルドカード)がなされるUCIプロコンチネンタルチーム。

規定通り4チームが選出されたわけですが、ジロもまた興味深い構成となっています。

 

第100回大会とあって、イタリアチームだけでワイルドカード4チームが占められても不思議ではなかったのですが、蓋を開けてみるとバルディアーニCSFウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリアの2チームにとどまりました。

まずバルディアーニCSFは、イタリア国内で開催されるUCIヨーロッパツアー(UCIワールドツアーの下部シリーズ)HCクラスと1クラスを対象に、チーム獲得ポイントで競われる「コッパ・イタリア」の2016年シリーズで総合優勝。

総合優勝チームには翌年のジロ出場権を与えるとの規定により、無条件に選出。

ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリアは、イタリア自転車界のスターであるフィリッポ・ポッツァートや、同国期待のスプリンターのヤクブ・マレクコが所属。

今年で23歳になるマレクコは昨シーズン、いずれも小さなレースではあったものの年間12勝と大活躍。

今年もすでに1勝を挙げており、将来を嘱望されるスピードスターにはジロのステージ優勝が期待されています。

 

続いて、イタリア国外から選出された2チーム。

ガズプロム・ルスヴェロはジロ初出場だった昨年、山岳個人タイムトライアルで争われた第15ステージでアレクサンドル・フォリフォロフがステージ優勝。

特筆すべき成果はその1勝のみだったとはいえ、名だたるクライマーを差し置いての勝利は十分すぎるほどセンセーショナルなグランツールデビューだったといえます。

 

そして、CCCスプランディ・ポルコウィチェ

こちらは2年ぶりのジロ返り咲きとなりますが、その背景にはジロが目指す国際化が大きな影響を及ぼしていると言われています。

近年、オランダやイギリスで開幕することのあったジロは近いうち、ポーランドでの開催を目指していることが明らかになっています。

そうした中で同国を代表するチームを選出し、国と大会との関係性をより密接なものにしていこうとの意図が、今回の選出には反映されていると見ることができます。

主催者こそ違うものの、ポーランドが舞台となるツール・ド・ポローニュではイタリアで開幕したケースがあるなど、イタリアとポーランドの自転車界の信頼関係は着々と築かれています。

 

一方で、有力視されていたイタリアの2チームは涙を飲むこととなりました。

 

アンドローニジョカットリ・シデルメックは2年連続の落選。

名伯楽ジャンニ・サビオ氏率いるチームは一昨年、2人の薬物違反者を出しました。

また、かねがねギリギリのチーム運営であることも関係し、毎年のようにUCIプロコンチネンタルチーム登録に手間取るといった実情も挙げられます。

戦力は整っていて、昨年のUCIヨーロッパツアーではイタリア2番手であったことからしても、本来であればジロで戦えるだけのチームだと言えるでしょう。

それ以上に、アンチ・ドーピング姿勢やチーム運営の問題点がジロ落選に関わってきているよう。

 

また、NIPPO・ヴィーニファンティーニも落選。

日本企業による出資、日本人選手の所属もあり多くのファンが期待を寄せていたワイルドカードでしたが、3年連続の獲得とはなりませんでした。

年々チームを強化し、あとはビッグレースでの結果を残すだけとなっていた矢先での落選は、驚きとともにファンにとっては悲しいものとなりました。

私が1点、気になったことを挙げるとするならば、昨年のUCIヨーロッパツアーにおいて他チームと対等、または彼らに迫るだけのポイントが獲得できていなかったところ。

もう1つの主戦場であるUCIアジアツアーではチームランキングで上位入りしたものの、肝心のヨーロパツアーでは29位に沈んでいます。

今回選出されたチームと比較すると、バルディアーニCSFが6位、ウィリエール・トリエスティーナが13位、ガズプロム・ルスヴェロが14位、CCCスプランディ・ポルコウィチェが16位。

この4チーム中最下位のCCCスプランディ・ポルコウィチェとは600点以上の開きがあります。

これでは、いくらチーム強化が進んでいるとはいえども、まだまだビッグレースで戦えるだけの戦力には至っていないと見られても文句は言えません。

 

イタリア籍のUCIプロコンチネンタルチームにとって、ジロに出場できるかどうかは死活問題。

いくら他のレースで結果を残していたとしても、ジロに出られないとなればスポンサードをしている意味がないと捉えられてしまうのがイタリアのチームなのです。

落選した2チームは今年のジロ出場チームの発表後、主催者であるRCSスポルトにさまざまな提案を行いました。

選出チームの見直しや増加はもちろん、サビオ氏は「この2チームから半数ずつを出し合って結成する連合チームを5つ目のワイルドカードに!」といった案も出したのだそうです。

しかし、大会ディレクターのマウロ・ヴェーニ氏は「ジロに出られないチームへは、ストラーデ・ビアンケ、ティレーノ〜アドリアティコ、ミラノ〜サンレモなどへの出場権を与えている。すべてをジロに依存することは間違っている。それこそチームの計画性の欠如だ」と一蹴。

さらには、「ジロに選出されることがすべてといったあり方は誤ったビジネスモデルであり、それがイタリア自転車界の危機をもたらしている」と続けます。

その意味では、今回のワイルドカード選出はジロを目指すチームの方向性に警鐘を鳴らしている、ということなのかもしれません。

 

ジロ2017出場チーム、そしてワイルドカード選出の背景について、私見を織り交ぜながら述べてみましたが、いかがだったでしょうか。

すでにジロ出場の意向を示しているトップライダーも多く、その戦いぶりに期待が膨らみます。

今のうちからしっかりとレースをチェックし、注目選手の動向は押さえておきたいところです。

 

ジロ・デ・イタリア2017は5月6〜28日の日程で開催されます。

 

それではまた、近々お会いしましょう。

 

福光 俊介/The Syunsuke FUKUMITSU

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ツール・ド・フランス2017 出場チームとワイルドカード選出の背景に迫る

こんにちは、サイクルライター/アナリストの福光俊介です、お久しぶりです。

ご挨拶が大変遅くなりましたが、今年もどうぞよろしくお願いします。

 

さて、オーストラリアで開催されたツアー・ダウンアンダーで2017年シーズンが幕を開けました。

それに続くように、年間3つのグランツールのうち、ジロ・デ・イタリアツール・ド・フランスの出場チームが決定し、主催者から発表されました。

シーズンを大きく盛り上げる3週間の戦い、とても楽しみですね。

 

今回は両レースのうち、1月26日に発表があったツールの出場チームについて触れてみたいと思います。

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© A.S.O.

 

まずは、決定した出場チームを。

2017年のUCIワールドチームを確認する意味も含めて、全チームを以下に記します。

 

UCIワールドチーム】

アージェードゥーゼール ラモンディアル(フランス)

アスタナ プロチーム(カザフスタン

バーレーンメリダバーレーン

BMCレーシングチーム(アメリカ)

ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)

キャノンデール・ドラパック プロフェッショナルサイクリングチーム(アメリカ)

エフデジ(フランス)

ロット・ソウダル(ベルギー)

モビスター チーム(スペイン)

オリカ・スコット(オーストラリア)

クイックステップフロアーズ(ベルギー)

チーム ディメンションデータ(南アフリカ

チーム カチューシャ・アルペシン(スイス)

チーム ロットNL・ユンボ(オランダ)

チーム スカイ(イギリス)

チーム サンウェブ(ドイツ)

レックセガフレード(アメリカ)

UAEアブダビUAE

 

UCIプロコンチネンタルチーム】※ワイルドカードでの選出

コフィディス ソリュシオンクレディ(フランス)

ディレクトエネルジー(フランス)

フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト(フランス)

ワンティ・グループゴーベル(ベルギー)

 

ツール・ド・フランス公式Webでの発表記事(英語)


出場権がはじめから保障されているUCIワールドチームの一方で、チーム決定の際に話題となるのが、主催者による選出(ワイルドカード)がなされるUCIプロコンチネンタルチーム。

近年同様、今回も4チームが選ばれましたが、とても興味深い構成となっています。

 

まず、コフィディス ソリュシオンクレディディレクトエネルジーフォルトゥネオ・ヴィタルコンセプトの3チームは、いずれも開催地フランスのチームであり、この数年はツールでも実績を残してきました。

コフィディスにはナセル・ブアニ(フランス)が、ディレクトエネルジーにはトマ・ヴォクレールブライアン・コカール(ともにフランス)といったスター選手が所属しており、フランス国内での人気や注目度という意味でも外せない存在です。

 

かたや、ワンティ・グループゴーベルの選出には、多くのファンや関係者が驚きを覚えたことでしょう。

これまでツールはおろか、グランツール自体に出場経験がありません。

 

チームは2008年に「ウィレムスベランダス」との名で発足。

当時は現在よりワンランク下にあたる、UCIコンチネンタルチームとして活動していました。

その後、アクセントジョブスなどスポンサー企業が変わっていき、2014年から現体制であるワンティ・グループゴーベルとなりました。

 

2011年にUCIプロコンチネンタルチームとなってからは、ベルギー企業がスポンサーを務めるチームであることも関係し、春に行われる北のクラシックやアルデンヌクラシックをメインターゲットとして戦ってきました。

昨年は、アルデンヌクラシックの1つであるアムステル・ゴールドレースで、エンリーコ・ガスパロット(イタリア、現バーレーンメリダ)が優勝するなど、トップシーンでの活躍も目に付くようになっていました。

 

実は、活躍の場が広がるとともに、チームはグランツール出場を目指してロビー活動にも力を注いでいたというのが、目下の評判でもありました。

昨年は実際にツール出場の候補にも名が挙がっており、あと一歩のところで落選したとヨーロッパでは報道されていました。

 

ツールを主催するA.S.O.(Amaury Sport Organisation/アモリ・スポル・オルガニザシオン)は例年、同大会の出場候補チームに他の主催大会への出場権も与えています。

今年でいくと、ツールに選出された4チーム以外に、フランスを拠点とするUCIプロコンチネンタルチームであるデルコ・マルセイユプロヴァンスKTMが、3月に開催されるパリ~ニース、6月に開催されるクリテリウム・ドゥ・ドーフィネに選出されています。

そのことからも、ツールのワイルドカード“4番目の椅子”は、ワンティ・グループゴーベルとデルコ・マルセイユプロヴァンスKTMが争ったと見ることが妥当でしょう。

 

デルコ・マルセイユプロヴァンスKTMは、かつて別府史之(トレックセガフレード)らが所属していたアマチュアチーム「ラポム・マルセイユ」の流れを汲み、2016年にUCIプロコンチネンタルチームとなりました。

アマチュアチームだった頃も含めると、チームの歴史は古く、多くのファンや関係者が知るチームでもありますが、現体制におけるUCIプロコンチネンタルチームとしては、今回のツール選出チームと比較すると一枚力が落ちるかな・・・というのが実情。

年々戦力を強化しているとはいえ、所属選手が18人と比較的小規模で、確たる実績を残している選手が少ない点も否めません。

 

A.S.O.が地元チームを優先する方針であれば、デルコ・マルセイユプロヴァンスKTMを選出していたかもしれませんが、今回は「3週間を戦う戦力を有する」あたりを最低限の条件としてワイルドカード4チームを選んだと見てもよいのではないでしょうか。

今回惜しくも落選したデルコ・マルセイユプロヴァンスKTMは、パリ~ニースやクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ、その他大小あらゆるレースで戦えるチームであることを示し、レース関係者へのアピールを繰り返していく必要があるでしょう。

 

ツール2017出場チーム、そしてワイルドカード選出の背景について、いかがだったでしょうか。

シーズン開幕直後とあって、どのチーム・選手ともにこれから軌道に乗せていこうという段階ですが、「ロード・トゥ・ツール」はすでに始まっています。

チームの動向、選手の走りを今からチェックを重ねて、ツール本番への思いを馳せてみてください。

ツール・ド・フランス2017は、7月1~23日の日程で開催されます。

 

次回は、ジロ・デ・イタリア2017の出場チームとワイルドカード選出の背景に迫ってみたいと思います。

 

それではまた、近々お会いしましょう。

 

福光 俊介/The Syunsuke FUKUMITSU

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念願の!プロロードレースを舞台とした映画「疾風スプリンター」が2017年1月7日に公開です

みなさま、こんにちは。

サイクルロードレースシーズン突入をいまかいまかと待たれておりますでしょうか。

私たちも首を長くして待っている次第…。

 

そんな中、朗報が届きました!

年明け、2017年1月7日(土)にプロロードレースを舞台とした映画「疾風スプリンター」が全国公開になります!!

shippu-sprinter.espace-sarou.com

 

試写会にお邪魔させて頂きましたが、ひとこと。

“あっという間の125分間”でした。

 

125分間にサイクルロードレースの全てを詰め込むことは難しいですが、なんだかここを見てほしいっ!ていうロードレースの要所要所をぎゅぎゅっと詰め込んで、濃縮150%な勢いですごい展開の映画でした…!(※個人的感想)

もちろんフィクションなので、実際はそんなことない!とかいうシーンがあったりするかもしれませんが、少し大げさに描かれていたり、ロードレースとは別の素敵な要素が入っていたりと、色々なシーンが組み込まれていてそれらが合わさってすっと入ってくるそんな映画だからこそあっという間に感じました!(^^)!

J SPORTSでは、2017シーズン本格的に放送を開始するのが2月を予定しているので…(すみません!)、1月はこの映画で皆様のサイクルロードレース熱を2月・3月に向けて温めておいて頂くのはいかがでしょうか?

そして、早めに温まったところでJ SPORTSの2016シーズン一挙放送を見て頂くのもご一興(=^・・^=)★☆

www.jsports.co.jp

 

 

余談にはなりますが…、

映画やドラマでロードレースの迫力を表現することがどれだけ難しかったか…職業柄(?)制作サイドの気持ちになって考えてみたりもします…。

ロードバイクの乗り方、ペダリングの仕方、ギアチェンジの方法、サドルの高さは適切か…などなど、数えだすときりがないくらい、ロードレースの作品を作り上げることはハードルがたっくさんあるのです。

そして実際のレースシーン、公道を使うとか、ロードバイクを何台調達するとか、エキストラの方へ乗り方を指導したりとか…、もう気にかけなければいけない事が山ほどあり、さぞかし大変だっただろうな…と。(何目線←)

 

それでも作り上げたこの作品。映画「疾風スプリンター」。

是非ロードレースにまだ触れたことが無い方でもお楽しみ頂けるかと思いますので、皆様ロードレースに無関心だったお友達もお誘いあわせの上、映画館へLet's goしちゃってください)^o^(☆

 

映画史上、最大迫力。

プロ・ロードレースを舞台に繰り広げられる男たちのドラマ。

究極のスピード、興奮、感動を全身で体感せよ!

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どうぞ、お楽しみに(*^_^*)