ツール開幕まで、あと1週間であります!
2月の大腿骨骨折を乗り越えてツール出場、という新城選手(ランプレ・メリダ)のミラクル・ストーリーが飛び込んでくるなど、ツール前のワクワク感は高まる一方・・・
そう、7月2日のツール・ド・フランス開幕まで、残すところわずか1週間。
1週間どころか、あと6日寝ると(!)、ノルマンディー上陸作戦前夜にドイツ軍から解放された最初の村、サント=メール=エグリーズを舞台に、チームプレゼンテーションが開催されます。
※この模様は、もちろんJ SPORTSで生中継されます!
6月30日 (木) 深夜 1:00~深夜 3:30 J SPORTS 4
番組情報 Cycle*2016 ツール・ド・フランス チームプレゼンテーション | J SPORTS
毎年さまざまな趣向が凝らされるチームプレゼンテーションですが、今年は同盟国によるフランス解放がテーマ。上陸部隊の行進を模して、全22チーム、198選手が旧式のクルマ(ジープ??)に分乗し、パレードを行うなんていう話も聞こえてきております。でも、さすがに落下傘で降りてくる選手はいない・・・はず・・・?
さて、開幕を来週末に控え、新城選手が出場を勝ち取ったランプレをはじめ、各チームのツール・セレクションが続々と発表になっております。
メンバー発表のタイミングは、年々遅くなっていっている感じ。昨年のトレック・ファクトリー・レーシング(今年はトレック・セガフレード)のように、ツイッターを利用して出場選手を一人一人発表していくなど、メンバー発表自体がちょっとしたイベントになりつつあります。
そんな中、昨年の不在を経て、2年ぶりにツールに帰ってくるのが、トップスプリンターのマルセル・キッテル(エティックス・クイックステップ)。昨年は、シーズン前半の不調を理由に、彼自身の希望に反し、チーム(ジャイアント・アルペシン)はキッテルをツールメンバーから外しました。もちろんそれだけが原因ではありませんが、その後、キッテルは新しいチームへの移籍を選択しています。
多少の不安材料があったとしても、昨年までツールで活躍してきたトップ選手であれば、とりあえず出場させてみよう。ツールには魔力があるというし、きっと底力を発揮してくれるだろう ― そんな判断がとられることも最近は少なくなったし、以前は『ツール前の調整』という位置づけだったレースにおいて、しっかりと結果を出すことが求められるようになっているように感じます。とにかくどのチームにおいても、ツールのセレクションはシビアになってきたなあ、という印象です。
そういえば、今年1月、トレーニングキャンプ中の事故で左人差し指をほぼ切断するという大怪我からようやくレースに復帰したジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・アルペシン)も、ツールにその姿を見せてくれます。まずはレースのリズムに慣れることからということで出場したカリフォルニア一周は完走、クリテリウム・ドュ・ドーフィネの第4ステージのスプリントでは8位に入賞。クローズアップをごらんになって気がついた方もいらっしゃると思うのですが、彼の左人差し指は青いサポーターで固定されており、今も使うことはできません。これまで人差し指で行っていたすべてを、中指で行わなくてはならないため、バイクのハンドル部分にも、たとえば中指でブレーキがかけやすいように、変更が加えられました。デゲンコルプ本人によれば、これまでバイクの上で身につけてきた反射 ― 人差し指に力をかける ― を変えなくてはならないことが、何より難しい、とのこと。常に瞬時の反応が必要とされるレースの中で、これは大きな重荷であり、大きなリスクだろうと思います。
さきほど「ツールの魔力」という言葉を言葉を使いましたが、ひっそり、その魔力が効いたらいいなあ、と思っているのがこのデゲンコルプ。スプリント完全復調で、元チームメート・キッテルのエティックス・トレインとデゲンコルプ率いるジャイアント・トレインの直接対決が見られるならそれはそれですばらしいのですが、もしそれが叶わなかったときには、みんながあっと驚くようなアタックを見せてくれたら、と思っております。
ペテル・サガン(ティンコフ)がツール終了後はなんとMTBでリオ五輪に出場するとか、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)がナイロ・キンタナの、ヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ)がファビオ・アルのサポートに回るとか、今ツールも開幕前から話題が尽きません。
世界中からの歓声が、沿道の熱気が、選手たちに信じられないパワーを与えてくれるのがツール・ド・フランス。それがたった1日で終わってしまったとしても、21日間を走りきったとしても、出場する198人の選手それぞれにストーリーがあり、ドラマがあります。
7月の21日間のドラマを、今年もみんなで楽しみましょう!
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これからもときどき、皆さまとかわりばんこに、こちらのブログを担当させていただきます。
ときには現地から、ときには日本から、情報を発信していきます。
またどうぞよろしくお願いいたします。
寺尾 真紀
Maki Terao (@makiterao) | Twitter