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J SPORTSサイクルブログ

国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局J SPORTSのサイクルブログです。

ジロ・デ・イタリア2017 出場チームとワイルドカード選出の背景に迫る

こんにちは、サイクルライター/アナリストの福光俊介です、丸々1カ月ぶりですね。

 

サイクルロードレースシーズンは、南半球や中東でのステージレースがひと段落し、いよいよベルギーでの石畳系レースが幕を開けたところです。

3月に入れば、J SPORTSでも放映予定でのパリ〜ニースがありますし、本場ヨーロッパでの熱い戦いをわれわれもテレビから目にすることができますね。

 

そんな、楽しみが尽きない今日この頃でありますが、少々さかのぼりまして1月18日に発表されたジロ・デ・イタリアに関して、今回は書きたいと思います。

現時点ではJ SPORTSでのジロ放映は未定となっていますが、大なり小なりシーズン全体を左右する話題でもありますので、あえてこのブログで触れていくこととします。

 

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©️RCS

 

今年で第100回のジロ、イタリア領土を隅々まで巡るルート設定がなされています。

開幕は地中海に浮かぶサルデーニャ島

アスタナ プロチームのエースとして出走が予定されているファビオ・アルの出身地でもあります。

 

それでは、決定した出場チームを見ていきましょう。

 

UCIワールドチーム】

アージェードゥーゼール ラモンディアル(フランス)

アスタナ プロチーム(カザフスタン

バーレーンメリダバーレーン

BMCレーシングチーム(アメリカ)

ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)

キャノンデール・ドラパック プロフェッショナルサイクリングチーム(アメリカ)

エフデジ(フランス)

ロット・ソウダル(ベルギー)

モビスター チーム(スペイン)

オリカ・スコット(オーストラリア)

クイックステップフロアーズ(ベルギー)

チーム ディメンションデータ(南アフリカ

チーム カチューシャ・アルペシン(スイス)

チーム ロットNL・ユンボ(オランダ)

チーム スカイ(イギリス)

チーム サンウェブ(ドイツ)

トレック・セガフレード(アメリカ)

UAE チームエミレーツUAE

 

UCIプロコンチネンタルチーム】※ワイルドカードでの選出

CCCスプランディ・ポルコウィチェ(ポーランド

バルディアーニCSF(イタリア)

ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア(イタリア)

ガズプロム・ルスヴェロ(ロシア)

 

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©️RCS

 

ジロ・デ・イタリア公式WEBでの発表記事(英語)

www.giroditalia.it

 

前回、ツール・ド・フランスの出場チームについて記した際に触れましたが、トップカテゴリーにあたるUCIワールドチームは無条件で出場権を獲得しています。

やはり注目したいのは、主催者による選出(ワイルドカード)がなされるUCIプロコンチネンタルチーム。

規定通り4チームが選出されたわけですが、ジロもまた興味深い構成となっています。

 

第100回大会とあって、イタリアチームだけでワイルドカード4チームが占められても不思議ではなかったのですが、蓋を開けてみるとバルディアーニCSFウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリアの2チームにとどまりました。

まずバルディアーニCSFは、イタリア国内で開催されるUCIヨーロッパツアー(UCIワールドツアーの下部シリーズ)HCクラスと1クラスを対象に、チーム獲得ポイントで競われる「コッパ・イタリア」の2016年シリーズで総合優勝。

総合優勝チームには翌年のジロ出場権を与えるとの規定により、無条件に選出。

ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリアは、イタリア自転車界のスターであるフィリッポ・ポッツァートや、同国期待のスプリンターのヤクブ・マレクコが所属。

今年で23歳になるマレクコは昨シーズン、いずれも小さなレースではあったものの年間12勝と大活躍。

今年もすでに1勝を挙げており、将来を嘱望されるスピードスターにはジロのステージ優勝が期待されています。

 

続いて、イタリア国外から選出された2チーム。

ガズプロム・ルスヴェロはジロ初出場だった昨年、山岳個人タイムトライアルで争われた第15ステージでアレクサンドル・フォリフォロフがステージ優勝。

特筆すべき成果はその1勝のみだったとはいえ、名だたるクライマーを差し置いての勝利は十分すぎるほどセンセーショナルなグランツールデビューだったといえます。

 

そして、CCCスプランディ・ポルコウィチェ

こちらは2年ぶりのジロ返り咲きとなりますが、その背景にはジロが目指す国際化が大きな影響を及ぼしていると言われています。

近年、オランダやイギリスで開幕することのあったジロは近いうち、ポーランドでの開催を目指していることが明らかになっています。

そうした中で同国を代表するチームを選出し、国と大会との関係性をより密接なものにしていこうとの意図が、今回の選出には反映されていると見ることができます。

主催者こそ違うものの、ポーランドが舞台となるツール・ド・ポローニュではイタリアで開幕したケースがあるなど、イタリアとポーランドの自転車界の信頼関係は着々と築かれています。

 

一方で、有力視されていたイタリアの2チームは涙を飲むこととなりました。

 

アンドローニジョカットリ・シデルメックは2年連続の落選。

名伯楽ジャンニ・サビオ氏率いるチームは一昨年、2人の薬物違反者を出しました。

また、かねがねギリギリのチーム運営であることも関係し、毎年のようにUCIプロコンチネンタルチーム登録に手間取るといった実情も挙げられます。

戦力は整っていて、昨年のUCIヨーロッパツアーではイタリア2番手であったことからしても、本来であればジロで戦えるだけのチームだと言えるでしょう。

それ以上に、アンチ・ドーピング姿勢やチーム運営の問題点がジロ落選に関わってきているよう。

 

また、NIPPO・ヴィーニファンティーニも落選。

日本企業による出資、日本人選手の所属もあり多くのファンが期待を寄せていたワイルドカードでしたが、3年連続の獲得とはなりませんでした。

年々チームを強化し、あとはビッグレースでの結果を残すだけとなっていた矢先での落選は、驚きとともにファンにとっては悲しいものとなりました。

私が1点、気になったことを挙げるとするならば、昨年のUCIヨーロッパツアーにおいて他チームと対等、または彼らに迫るだけのポイントが獲得できていなかったところ。

もう1つの主戦場であるUCIアジアツアーではチームランキングで上位入りしたものの、肝心のヨーロパツアーでは29位に沈んでいます。

今回選出されたチームと比較すると、バルディアーニCSFが6位、ウィリエール・トリエスティーナが13位、ガズプロム・ルスヴェロが14位、CCCスプランディ・ポルコウィチェが16位。

この4チーム中最下位のCCCスプランディ・ポルコウィチェとは600点以上の開きがあります。

これでは、いくらチーム強化が進んでいるとはいえども、まだまだビッグレースで戦えるだけの戦力には至っていないと見られても文句は言えません。

 

イタリア籍のUCIプロコンチネンタルチームにとって、ジロに出場できるかどうかは死活問題。

いくら他のレースで結果を残していたとしても、ジロに出られないとなればスポンサードをしている意味がないと捉えられてしまうのがイタリアのチームなのです。

落選した2チームは今年のジロ出場チームの発表後、主催者であるRCSスポルトにさまざまな提案を行いました。

選出チームの見直しや増加はもちろん、サビオ氏は「この2チームから半数ずつを出し合って結成する連合チームを5つ目のワイルドカードに!」といった案も出したのだそうです。

しかし、大会ディレクターのマウロ・ヴェーニ氏は「ジロに出られないチームへは、ストラーデ・ビアンケ、ティレーノ〜アドリアティコ、ミラノ〜サンレモなどへの出場権を与えている。すべてをジロに依存することは間違っている。それこそチームの計画性の欠如だ」と一蹴。

さらには、「ジロに選出されることがすべてといったあり方は誤ったビジネスモデルであり、それがイタリア自転車界の危機をもたらしている」と続けます。

その意味では、今回のワイルドカード選出はジロを目指すチームの方向性に警鐘を鳴らしている、ということなのかもしれません。

 

ジロ2017出場チーム、そしてワイルドカード選出の背景について、私見を織り交ぜながら述べてみましたが、いかがだったでしょうか。

すでにジロ出場の意向を示しているトップライダーも多く、その戦いぶりに期待が膨らみます。

今のうちからしっかりとレースをチェックし、注目選手の動向は押さえておきたいところです。

 

ジロ・デ・イタリア2017は5月6〜28日の日程で開催されます。

 

それではまた、近々お会いしましょう。

 

福光 俊介/The Syunsuke FUKUMITSU

http://www.thesyunsukefukumitsu.jp/

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