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ツール・ド・フランス2017 出場チームとワイルドカード選出の背景に迫る

こんにちは、サイクルライター/アナリストの福光俊介です、お久しぶりです。

ご挨拶が大変遅くなりましたが、今年もどうぞよろしくお願いします。

 

さて、オーストラリアで開催されたツアー・ダウンアンダーで2017年シーズンが幕を開けました。

それに続くように、年間3つのグランツールのうち、ジロ・デ・イタリアツール・ド・フランスの出場チームが決定し、主催者から発表されました。

シーズンを大きく盛り上げる3週間の戦い、とても楽しみですね。

 

今回は両レースのうち、1月26日に発表があったツールの出場チームについて触れてみたいと思います。

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© A.S.O.

 

まずは、決定した出場チームを。

2017年のUCIワールドチームを確認する意味も含めて、全チームを以下に記します。

 

UCIワールドチーム】

アージェードゥーゼール ラモンディアル(フランス)

アスタナ プロチーム(カザフスタン

バーレーンメリダバーレーン

BMCレーシングチーム(アメリカ)

ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)

キャノンデール・ドラパック プロフェッショナルサイクリングチーム(アメリカ)

エフデジ(フランス)

ロット・ソウダル(ベルギー)

モビスター チーム(スペイン)

オリカ・スコット(オーストラリア)

クイックステップフロアーズ(ベルギー)

チーム ディメンションデータ(南アフリカ

チーム カチューシャ・アルペシン(スイス)

チーム ロットNL・ユンボ(オランダ)

チーム スカイ(イギリス)

チーム サンウェブ(ドイツ)

レックセガフレード(アメリカ)

UAEアブダビUAE

 

UCIプロコンチネンタルチーム】※ワイルドカードでの選出

コフィディス ソリュシオンクレディ(フランス)

ディレクトエネルジー(フランス)

フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト(フランス)

ワンティ・グループゴーベル(ベルギー)

 

ツール・ド・フランス公式Webでの発表記事(英語)


出場権がはじめから保障されているUCIワールドチームの一方で、チーム決定の際に話題となるのが、主催者による選出(ワイルドカード)がなされるUCIプロコンチネンタルチーム。

近年同様、今回も4チームが選ばれましたが、とても興味深い構成となっています。

 

まず、コフィディス ソリュシオンクレディディレクトエネルジーフォルトゥネオ・ヴィタルコンセプトの3チームは、いずれも開催地フランスのチームであり、この数年はツールでも実績を残してきました。

コフィディスにはナセル・ブアニ(フランス)が、ディレクトエネルジーにはトマ・ヴォクレールブライアン・コカール(ともにフランス)といったスター選手が所属しており、フランス国内での人気や注目度という意味でも外せない存在です。

 

かたや、ワンティ・グループゴーベルの選出には、多くのファンや関係者が驚きを覚えたことでしょう。

これまでツールはおろか、グランツール自体に出場経験がありません。

 

チームは2008年に「ウィレムスベランダス」との名で発足。

当時は現在よりワンランク下にあたる、UCIコンチネンタルチームとして活動していました。

その後、アクセントジョブスなどスポンサー企業が変わっていき、2014年から現体制であるワンティ・グループゴーベルとなりました。

 

2011年にUCIプロコンチネンタルチームとなってからは、ベルギー企業がスポンサーを務めるチームであることも関係し、春に行われる北のクラシックやアルデンヌクラシックをメインターゲットとして戦ってきました。

昨年は、アルデンヌクラシックの1つであるアムステル・ゴールドレースで、エンリーコ・ガスパロット(イタリア、現バーレーンメリダ)が優勝するなど、トップシーンでの活躍も目に付くようになっていました。

 

実は、活躍の場が広がるとともに、チームはグランツール出場を目指してロビー活動にも力を注いでいたというのが、目下の評判でもありました。

昨年は実際にツール出場の候補にも名が挙がっており、あと一歩のところで落選したとヨーロッパでは報道されていました。

 

ツールを主催するA.S.O.(Amaury Sport Organisation/アモリ・スポル・オルガニザシオン)は例年、同大会の出場候補チームに他の主催大会への出場権も与えています。

今年でいくと、ツールに選出された4チーム以外に、フランスを拠点とするUCIプロコンチネンタルチームであるデルコ・マルセイユプロヴァンスKTMが、3月に開催されるパリ~ニース、6月に開催されるクリテリウム・ドゥ・ドーフィネに選出されています。

そのことからも、ツールのワイルドカード“4番目の椅子”は、ワンティ・グループゴーベルとデルコ・マルセイユプロヴァンスKTMが争ったと見ることが妥当でしょう。

 

デルコ・マルセイユプロヴァンスKTMは、かつて別府史之(トレックセガフレード)らが所属していたアマチュアチーム「ラポム・マルセイユ」の流れを汲み、2016年にUCIプロコンチネンタルチームとなりました。

アマチュアチームだった頃も含めると、チームの歴史は古く、多くのファンや関係者が知るチームでもありますが、現体制におけるUCIプロコンチネンタルチームとしては、今回のツール選出チームと比較すると一枚力が落ちるかな・・・というのが実情。

年々戦力を強化しているとはいえ、所属選手が18人と比較的小規模で、確たる実績を残している選手が少ない点も否めません。

 

A.S.O.が地元チームを優先する方針であれば、デルコ・マルセイユプロヴァンスKTMを選出していたかもしれませんが、今回は「3週間を戦う戦力を有する」あたりを最低限の条件としてワイルドカード4チームを選んだと見てもよいのではないでしょうか。

今回惜しくも落選したデルコ・マルセイユプロヴァンスKTMは、パリ~ニースやクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ、その他大小あらゆるレースで戦えるチームであることを示し、レース関係者へのアピールを繰り返していく必要があるでしょう。

 

ツール2017出場チーム、そしてワイルドカード選出の背景について、いかがだったでしょうか。

シーズン開幕直後とあって、どのチーム・選手ともにこれから軌道に乗せていこうという段階ですが、「ロード・トゥ・ツール」はすでに始まっています。

チームの動向、選手の走りを今からチェックを重ねて、ツール本番への思いを馳せてみてください。

ツール・ド・フランス2017は、7月1~23日の日程で開催されます。

 

次回は、ジロ・デ・イタリア2017の出場チームとワイルドカード選出の背景に迫ってみたいと思います。

 

それではまた、近々お会いしましょう。

 

福光 俊介/The Syunsuke FUKUMITSU

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