2016-17 移籍市場解禁!
こんにちは、サイクルライター/アナリストの福光俊介です。
前回の投稿からすっかり穴を開けてしまいました。
大興奮のツール・ド・フランスが終わり、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
さて、2016年も8月に入り、いよいよレース外の話題が活性化する時期がやってきました。
そうです、ストーブリーグ、移籍市場が解禁となりました!
UCI(国際自転車競技連合)の規定により、新シーズンに向けた移籍の合意・発表は8月1日以降に行うことがルールとなっています。
とはいえ、実情としてはかなり早い段階・・・、本当に早い選手であれば、前年の冬には獲得を目指すチームからオファーがあったりもするのだとか。
その手のケースは極端ではありますが、やはりビッグネームであればシーズンインまもない段階から、来季に向けた交渉が始まり、8月を前に仮合意に達していることが多いとされています。
また、ツール期間中に移籍、または所属チームとの契約延長交渉が急展開することもよくある話で、2回ある休息日は話を進めるのにはもってこいだったり。
そんな、“暗黙の了解”もありつつ、今年もストーブリーグがスタートしました。
そして、初日からビッグニュースが舞い込んできました!
©Tinkoff
ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)のボーラ・ハンスグローエ(現ボーラ・アルゴン18)移籍決定(チームによる公式発表・英文)。
現在は第2カテゴリーにあたる、UCIプロコンチネンタルチームですが、来シーズンのUCIワールドチーム(第1カテゴリー)昇格を見据え、現ロード世界王者であり、ツールのポイント賞・マイヨヴェールを5連覇した東欧の雄の獲得に見事成功。
過去のドーピング禍を乗り越え、ロードレース熱が復活しつつあるドイツのチームであり、デュッセルドルフで開幕する来年のツールへも並々ならぬ意欲を燃やしています。
先日、チームは来シーズンからスペシャライズドのバイクを採用することを発表。
これは、サガンの移籍に関係しているのではないかとの噂もありましたが、あながち間違いではないのかもしれません。
また、同時にペテルの兄であるユライ・サガン、ミカエル・コラー、エリック・バシュカのスロバキア人選手、マチェイ・ボドナル(ポーランド)が移籍することも明らかに。
サガンを支えるために、同胞や信頼度の高いアシスト選手を合わせて獲得しています。
来季、チームにおける最初のターゲットは、春のクラシックレース。
その後は、3つのグランツールすべてで活躍することにシフトしていくとのこと。
チームは、なおも有力選手獲得に向けて動き続けているとしており、前述のUCIワールドチーム昇格を念頭に置きつつも、仮にそれがかなわなくとも狙ったレースへの出場権を得られるだけの戦力の整備は進めていくものと思われます。
ちなみに、第2スポンサーとなるハンスグローエ社は、水栓金具やシャワーヘッドなどを製造・販売するドイツ企業。
サガンの話題で盛りだくさんになってしまいましたが、ひとまず8月1日付で各チーム発表された、移籍情報を以下にまとめておきます。
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ボーラ・ハンスグローエ(現ボーラ・アルゴン18)
ミカエル・コラー(スロバキア、ティンコフ)
エリック・バシュカ(スロバキア、ティンコフ)
マチェイ・ボドナル(ポーランド)
その他:2017年シーズンからスペシャライズド社のバイクを使用。
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アスタナ プロチーム
オスカル・ガット(イタリア、ティンコフ)
イェスパー・ハンセン(デンマーク、ティンコフ)
ミカエル・ヴァルグレンアナスン(デンマーク、ティンコフ)
モレノ・モゼール(イタリア、キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム)
その他:2017年シーズンからアルゴン18社のバイクを使用。
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オリカ・バイクエクスチェンジ
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ)
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ニコラ・ロッシュ(アイルランド、チーム スカイ)
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チーム ロットNL・ユンボ
フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター チーム)
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※各選手名後ろのカッコは国籍と現所属チーム
ティンコフは今シーズン限りでのスポンサー終了がすでに発表されていますが、移籍が決定した選手たちを見ていくと、改めてチームの“解体”が進んでいることを実感させられますね…。
そのほか、中東・バーレーンで2017年シーズンから発足し、UCIワールドチーム入りが噂される『バーレーン サイクリングプロジェクト』のバイクサプライヤーがメリダ社になることも、8月1日に発表されました。
それに伴い、チーム名が「バーレーン・メリダ プロサイクリングチーム」となることも決まっています。
昨冬にはチーム立ち上げがトピックとなっていた、このチーム。
当時からヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)と相思相愛の関係にあるとも言われていますが、真相はいかに。
また、メリダ社といえば、現在ランプレ・メリダのスポンサーでもありますが、そのあたりの関係も興味深いところ。
ランプレ・メリダのゼネラルマネージャー、ブレント・コープランド氏が来年からは、このバーレーンチームへと移ることも決まっていて、幾人かの選手たちも同調するのではないかとの見方もヨーロッパのメディアでは報じられています。
きっと近いうちに、何らかのアクションがあるはずです。
とにもかくにも、今後、さらに移籍市場の賑わいが予想されます。
大きなニュースがあり次第、随時お届けしたいと思います。
それではまた、近々お会いしましょう。
福光 俊介/The Syunsuke FUKUMITSU
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新城幸也選手のドキュメンタリー、必見ですよ〜!
こんにちは、宮本あさか@Parisです。
ツール・ド・フランスも終了し、今年の夏も終わってしまったなぁ……としみじみ感慨にふけっております。普通に考えれば、これからが夏本番!のはずなのですが。きっと、多くの自転車関係者やファンの皆さまたちが、同じように夏の終わりを感じているのではないでしょうか?
さて、そんなツールの夏の締めくくりに、ぴったりのドキュメンタリーがひとつ。8月3日(水)午後10時からJ SPORTSで放送される、題して「ドキュメンタリー ~The REAL~新城幸也の過ごした164日間 大腿骨骨折からツール・ド・フランス出場へ」。
2月ツアー・オブ・カタールでの落車、大腿骨骨折から、日本でのリハビリ、タイでのトレーニング、そしてツール・ド・フランスのシャンゼリゼフィニッシュまで、新城選手の奮闘の日々を追いかけたものです。
実はこの企画、「復活を応援する気持ちを込めて、新城選手を追いかけよう。もしかしたらツールには回復が間に合わないかもしれない。でも、たとえツール最終日に新城選手がどこにいようとも、象徴的な区切りの日として、ツール最終日まで密着を続けよう」というプロデューサーの強い意志でスタートしました。だから、本当に、嬉しいラストデーとなりました。なにしろタイトル通り、大腿骨骨折から164日後には、新城選手がシャンゼリゼの石畳の上を走っていたのですから。
ツール閉幕の翌々日には、新城選手のご自宅にも訪問取材を行ってます(たいへんお疲れのところ、新城選手、ありがとうございました!)。そこでは赤色のゼッケン「152」はもちろん、ご自身にとっては6枚目となる「ツール出走記念メダル」も見せていただきました。
このドキュメンタリーの取材・編集にあたったのは、10年ほど前から新城選手をよく知るディレクターです。今回も長期密着で、丁寧に、新城選手の心の動きを追いかけています。そんな担当者から、番組宣伝として、ひとこと。
「新城選手のポジティヴさを見て欲しいですね。絶対にツールに出る、という彼の強い信念こそが、奇跡の復帰を引き寄せたんです。正直に言うと、新城選手が松葉杖をついて歩いていた頃は、『さすがにツールはダメだろう……』と僕自身は思っていました。でも、松葉杖が外れた時に、『もしかしたら、間に合うんじゃないか』との確信に変わった。なにより新城選手とは、『持っている選手』なのだ、とひしひしと感じましたね」
8月1日には五輪出場のため、ブラジルのリオへと飛ぶ新城選手。ツール閉幕の3日後には、早くもトレーンングを再開しています。さらに、J SPORTSのサイクルロードレースファンにとって朗報なのは、リオ後には、なんとブエルタ出場の可能性もあるとのこと!
そんな新城選手のますますの活躍を祈りつつ……。8月3日(水)の番組をどうぞお楽しみに!
宮本あさか@Paris
グライペル選手、セルフィー攻撃につかまる。。。
シャンゼリゼの石畳で、ツールの21日間が無事終了しました。
いろいろお伝えしたいことはあるのですが、ネタ(!?)が古くなる前にささっと小ネタを。。。
最終日のパレード・ランは、シャンティイでスタート。スタートは見送らず、ゴールのパリでプロトンの到着を待った関係者も多かったのではないかと思いますが、パリまでバスに乗せてもらえそうな雰囲気だったので、スタートの様子を見に行ってきました。
パリまであと一息、という安心感なのか、選手たちの表情も明るいように思えます。
フェンス越しにサインをお願いするファンもいれば、エリア内に入り、お気に入りの選手にアプローチするゲストも。。。
(パンタノ選手に夢中なお父さん)
パレード・ランとはいっても、スプリンターたちにとっては、シャンゼリゼでの区間優勝がかかる、最後の大舞台。ロト・ソウダルのチームバスの前を通りかかると、今ツールでは未勝利のグライペル選手が、ちょうどサイン・インに向かおうというところ。そこにまず一人のファンが近づき、セルフィーを依頼。快くOKし、サングラスを外し、すこし笑顔になるグライペル選手。そこにすかさずもう一人が近づき、顔を寄せてもう一枚。続いてまた一人近づき、またもう一枚・・・。
だんだんと険しい顔にはなってしまいましたが、そこにいた希望者全員と、ちゃんとフレームに収まった、律儀なグライペル選手なのでした。
今ツール初の区間優勝、それも一年ぶりのシャンゼリゼでの区間優勝、おめでとうございまする。。。
寺尾真紀 @ 一時的にパリ
Maki Terao (@makiterao) | Twitter
ツールもいよいよ最終局面を迎えます୧꒰*´꒳`*꒱૭✧
ポケモンをGETされようとしている皆様、こんばんは。
いよいよツール・ド・フランスも最終局面を迎えています。
ここまでお付き合い頂きました皆様、本当にありがとうございます。
皆様と一緒にこの日本国内でツール・ド・フランスという世界最大のサイクルロードレースを盛り上げる事ができ、大変嬉しく思っております(*´∀`*)
さて、最近すこーしだけ思うこと。
ツール4勝を挙げていたカヴェンディッシュ選手や、カンチェラーラ選手など何名かオリンピックに向けてツールを途中棄権しました。ちょっと寂しいですね(´;ω;`)
確かに、確かに、4年に一度の大舞台。オリンピックに向けて調整し、その大舞台でのベストパフォーマンスを世界各国のファンに届ける使命が選手達にはあること、重々理解しております。
ただ、やっぱりパリ・シャンゼリゼでそういった選手達みんながゴールする瞬間を見たかった…!という本音をぽろっと言ってみます(´・ω・`)
ですが、一番悔しいのは選手達ご自身ですよね。辞退したいと思っていた選手なんてきっといない。オリンピックですもの…。仕方ないですよね。わがままはもう言いません!!
ツールで活躍した選手がきっとリオ五輪でも活躍してくれることでしょう。
その瞬間も楽しみにしつつ、残り3ステージのツールも楽しみにしてようと思います\(о♡∀♡о)/
みなさまも是非、お楽しみに!
さて、気は少し早いですが、少しここまでの振り返りを。
今年のツールも色々なドラマがありました。
世界遺産のモン・サン・ミシェルで記念すべき開幕を迎え、
選手のバックに大きな世界遺産がくっきりと晴天の中映り込む画は、
今後のツール・ド・フランス史上であってもなかなかない光景でしょう。
©Yuzuru SUNADA
(そういえば、栗村さん語録の中に「日本のモン・サン・ミシェル=江の島」というワードが追加されたのも、懐かしいですね。)
夜になるとライトアップもされて綺麗ですよね。日本の“モン・サン・ミシェル”。
そして、2月に大腿骨骨折という大怪我を負った新城幸也選手(´ェ`;)三(;´ェ`)
今年のツール出場が決まった時点で、J SPORTS社内はお祭り騒ぎでしたが…。
そんな新城選手がなんと第6ステージで敢闘賞を獲得しちゃったときには
そりゃあもう、お祭り騒ぎを超えるテンションでしばらく最高潮ムードでした。
新城選手敢闘賞獲得ステージの再放送をBS無料放送まで実施して、有料放送というビジネスを一時き忘れてこの感動を少しでも多くの人に届けたいという熱い思いのまま緊急編成致しました。
8月には新城選手のドキュメンタリーも放送を予定しています。
必見!!!
©Yuzuru SUNADA
そしてそして、相変わらず強い!フルームの圧巻のダウンヒルは第8ステージでした。
考えられない体勢でペダルをこぐフルームはここでタイム差をつけて現在もマイヨ・ジョーヌをキープ。
ほんとうに強いです。ここからしっかりとマイヨ・ジョーヌをキープ。
フルームは、10月さいたまクリテリウムにも出場が決定しています。
※ちなみにフルームのダウンヒルは危険ですので、決してマネをしないで下さい。
©Yuzuru SUNADA
色々な意味で忘れてはならないステージもありました。第12ステージ。
多くの観客によって埋め尽くされたコース。それによって引き起こされた事故。
観客マナーがそのレースの全てを変えてしまうといっても過言ではないことが証明されました。
©Yuzuru SUNADA
カヴェンディッシュの完全復活。ツール区間4勝をさらっていきました。
第1、3、6、14ステージでの優勝。豪華スプリント勢が揃う中ぐんっと力強く前にでるスプリント勝負。数センチ差の勝負も今年は多いですが、あれだけの速さの迫力はきっと現地で見たらど迫力ものですね。
©Yuzuru SUNADA
そして、史上初の敢闘賞2名という形になった、16ステージ。
トニー・マルティンとジュリアン・アラフィリップ。
もちろん2名の選出に賛否両論あるでしょう_(:З」 ∠)_あの時もふたりで逃げてたのに!なんで今回だけ!等々疑問が出るのも当然です。
ただ、「2人にとって良い思い出になったよ」と語るアラフィリップ選手の言葉を聞いて、ずっと今年のツールで不運が続き悔しい思いをしてきたアラフィリップ選手にとって偉大な先輩とこのステージで懸命に逃げて一緒に表彰台に上れたことは、少しは借りを返せた結果になったのではないでしょうか――。
©Yuzuru SUNADA
ほかにも本当に多くのドラマがありました。
筋書きのない3週間のドラマ。
皆様しっかりご堪能いただけましたでしょうか。
あと3ステージ分、どうぞ宜しくお願い致します。
そして、24日(日)パリ・シャンゼリゼを走る選手達の姿を見おさめたら、「すいんぐろー」で締め( ´0`)☆
…では、ありません!!!!
最終日は、Eaglesの「Desperado」の曲にあわせ、本ブログでも振り返ったような、ツール・ド・フランス2016の全てのハイライトで締めくくりですo(・ω・。)
一足お先に「Desperado」聞いてみましたが、なんだか寂しくて泣きそうになりました(ノ◇≦。)
ツール・ド・フランス第21ステージ、Eaglesの「Desperado」で皆様の感動をお約束いたします。ぜひ、放送の最後までお付き合い頂けますと幸いです(。>ω<)ノ
最後に…、今年もやります。「我らワールド」スピンオフ。
いつも使用しているツール・ド・フランスの中継スタジオを開放し、お客様と一緒に今年のツール・ド・フランス2016 MVPを勝手に決定しちゃおう。という企画です(*^_^*)
応募締切は7/26(火)です。詳細は下記よりご確認下さい。
本日のツール・ド・フランス第19ステージ放送は、午後7:35~J SPORTS 4で生中継です。
番組情報 Cycle*2016 ツール・ド・フランス | J SPORTS
どうぞ、宜しくお願い致します!!
かいぶつのふるさと、ベルンより。
緑深いジュラ山塊を抜け、ツールはベルンに。
これまでスイスでのゴールは20回以上(今回が23回だそう)ありますが、ベルンがツールを迎えるのは初。
ベルンは、今年限りで引退を表明しているファビアン・カンチェッラーラ選手の故郷でもあります。
第16ステージ、ベルンのフィニッシュラインをめぐる争いは、スプリンターにそのカンチェッラーラ選手も加わり白熱した争いになりましたが、ラスト数キロメートルの攻防を見守る間、背後の観客席から大きなシュプレヒコールが。
最初はカンチェッラーラ選手の応援団かと思いましたが、ファビアン、ファビアン、のコールでもなく、振り向いてみれば、振り回しているのはスロバキアの旗。サガン応援団です。ですが、腑に落ちたようで腑に落ちないのは、そのコール。ぺトル!でもなくサガン!でもなく…うーん、なんだか気になります。
サガン選手とクリストフ選手がフィニッシュラインを越えた途端、歓喜の叫び声をあげて飛び出していったのはオレグ・ティンコフ氏。しかし、しばらくして勝者はクリストフ選手だった、という話が伝わり、コースの反対側でノルウェーのTV局がインタビューを始めます。写真判定の結果をもうしばらく待ってほしい、という連絡が少し遅れてしまったため、2位のクリストフ選手がフルの優勝者コメントをしてしまうという、笑えないハプニングになってしまいました。
一方のサガン選手は、いつも通りのマイペース。公式会見が行われるビデオカンファレンスルームで、マイヨジョーヌのフルーム選手がアルプス難関ステージについてまじめに答えていると、突然背後の扉がガラガラと開き、サガン選手がぬっと顔をのぞかせます。フルーム選手も記者たちも一瞬ギョッ。
「ハーイ、クリス (^O^)/ もしかしてまだ話中???」
「あ~、あともうちょっとかかるかも」
「オーケー!」
フルーム選手も、ただただ苦笑するほかありません。
サガン選手について聞いて、プロトンの誰からも悪い言葉を聞いたことがありません。ほぼ例外なく、クレージー(あるいはエキセントリック)だけれど、とってもいいやつだよ、素晴らしいチャンピオンだよ、という言葉が返ってきます。こんな屈託のないところも、彼が誰からも愛されている所以なのだろうなあと思った午後でありました。
カンチェッラーラ選手を迎えてスペシャルなサインイン・セレモニーを行うという、今日の第17ステージ。ここからは4日間のアルプス難関ステージとなります。
寺尾真紀
Maki Terao (@makiterao) | Twitter
ツールの休息日、新城選手はのんびり……できた?
ツールの現場からこんにちは、宮本あさか@Bernです。
このところ、猛暑が続いています。ここスイスのベルンでも、町の真ん中を流れるアーレ川で、川泳ぎをする人たちの姿がたくさん見られました。ちなみに今日のピレネーは摂氏41度まで気温が上がったそうですから、32度というのは、まだましな方だったのですけれど……。
そんな暑い休息日の夕方に、新城幸也選手の囲み記者会見が行われました。とりあえず第17ステージと第20ステージは逃げたい!!!とのことでしたが、せっかくのお休みですので、ブログもお休みモード全開で行きたいと思います。
(第18ステージ登坂タイムトライアルの上り距離を数えて、「11㎞だけ!つまり、この日も、お休みのようなものです!」と余裕の新城選手)
◎休息日は寝坊できるの??
今ツール中のステージの朝は、ランプレのドクターが、いつも決まった時間に選手をおこしにまわってくるのだそう。じゃあ、お休みくらいは、ゆっくり朝寝坊できた?
「朝8時に、抜き打ちのドーピング検査がやってきたんです……」
嗚呼!おそらくロングスリーパー型の新城選手にとっては、きっとベッドから抜け出すのが辛かったことでしょう。
検査がつつがなく終了したのが朝9時で、練習開始時刻が11時。だから準備時間などのもろもろも考えると、二度寝も出来なかったそうです。残念。
◎休息日はおいしいものを食べても平気?
「休息日というのは、つまり翌日がレースなので、すでに夕方から普通のレースモードに入る必要があるんです。むしろ、おいしいものを食べたり、お酒を飲んだりというのは、休息日の前日ですね」
だから第16ステージの終了後の夕食には、ハンバーガーとピザがテーブルに並びました。アンドラでの休息日前夜がピザだけだったそうですから、ベルンの方が一段と豪華でした!
パテは「ア・ポワン(=ミディアム)」の焼き加減で、ケチャップ・マヨネーズ・マスタードも自由につけてよかったそうです。
「でもフリット(=フライドポテト)はなかったんです(笑)」
◎休息日は部屋で何をしているの?
ゲームをしたりするのかなぁ……と思って聞いてみたら、「ただ寝てるだけですよ」とのそっけない答えが。
ただしモータスポーツレースをTV観戦するのが大好きだそうで、もしもTVでやっていたら、それを眺めているとのこと。
「そうそう、昨日もインディーカーをやっていたので、見ましたよ!」
日本メディアの囲みインタビューのあと、フランステレビジョンから「トマ・ヴォクレールに質問をひとつしてくれないか??」との依頼が。たくさん悩んだ新城選手は、こんな質問をしていました。
「今シーズンが君の現役最後の年だと聞いたけれど、この後は何をする予定?」
取材から帰ってテレビを付けると、さっそくヴォクレールがテレビに生出演中。そしてジュリアン・アラフィリップ、シリル・ゴティエに続いて、3番目に新城選手の質問が登場しました。しかも、これが、ラスト・クエスチョン!
気になるヴォクレールの答えは「まだ妻や家族にしか話してないから、正確にいつ辞めるのかは、この場では言えないんですけど……。でも、自分の中では、答えは決まっているんですよ。とにかく、この先もずっと、僕が自転車に情熱を抱き続けていることには変わりはありません」とのことでした。
肝心の「何をする?」に関してはどうやら答え忘れてしまったヴォクレールですが、週刊新聞『ジュルナル・ド・ディマンシュ』のインタビューによると、究極の夢は「代表監督」なんだそうです!
宮本あさか@Bern
リヨン近郊より。
さまざまなドラマが続いた2週間を終え、ツールも残すところ一週間。遅ればせながら現地に合流いたしました。
土曜の早朝にパリからリヨンまでTGVで移動し、近くの空港でオーストラリア人ジャーナリストをピックアップ。そこから第14ステージのゴール地までは30分程度。スタート地から指定のコースを走ってきた訳ではないためプレス用駐車場に入れず(すぐ目の前にあるのに辿り着けないという、ツールではよくあるパターン)、駐車スペースを探してバードパークの周りをぐるぐる。ふと見上げれば、空ではアルザス地方でよく見かけるコウノトリが悠々と円を描いていました。
プレスセンターで一通りの手続きを済ませ、ゴールエリアへ。プレステントで迎えた最初のゴールは、カヴェンディッシュ。息をつめて見守っていたディメンション・データのプレスオフィサーも、喜びの咆哮をあげて彼を後を追っていきます。
一度フィニッシュラインを越えて走り抜けていった勝者や各賞ジャージ着用者は、ポディウムセレモニーのために途中で方向転換をしてゴールエリアに戻ってくるのですが、取り囲むフォトグラファー、TVクルー、記者たち、続々ゴールしてくる選手たちやそれを迎えるソワニエたちでもみくちゃになるのも久しぶりの体験。グランデパールから帯同していた取材陣は、毎日こんな中で頑張って来たのですね。。。
カヴェンディッシュ選手を巡ってはこんな一幕も。
ポディウムセレモニー、公式記者会見、ドーピングコントロール、とすべてが終了するにはかなり時間がかかるため、チームバスは彼を待たずに出発します。代わりにチームカーがカヴェンディッシュ選手を待っていたのですが、チームカーの周りには、ファンたちの人垣が。そこに戻ってきたカヴェンディッシュ選手に、ファンの一人がサインを求めます。イエロージャージを差し出し、慌てていたのかペンのフタを歯でこじ開けようとした青年に、
「慌てなくていいから、頼むから、口なんかで開けないでくれよ!」
実はとても潔癖症のカヴェンディッシュ選手らしい文句でした。
今日はジュラ山塊のステージ、休息日の前日になります。いってきます!
寺尾真紀